【多文化の子供たち】日本の公立小学校の授業についていける?各教科の困り感や、しんどさはどこにある?

教育

日本の公立小学校で学ぶ、多文化の子供たち

海外に住んでいると、計画をしていたとしても、計画がなかったにしても、日本に帰国する場合があると思います。それに伴い心配になることは、子供たちの教育環境。自分が育った故郷だから安心して預けられる…はずなのですが、時代も変わっているしどうなんだろう…ついていけるのかなぁ~と、思うこともあるかもしれません。

日本語のレベル(会話・読み書き)、算数のレベル、周りに知っている友達がいるか…

など、子供たち自身のもっている力によって多少異なりますが、子供たちのチカラは無限です。大人が想像している以上に適応していく力をもっているといつも感心させられます。

とはいいつつも、保護者様の立場からすると友達関係や勉強についての心配は多少なりともあると思います。

特に、1年生から日本の小学校に入学するのではなく、途中から日本の学校に行くことになった場合にその心配事は大きくなってしまうのではないでしょうか。

そこで今回は、私が日本の公立小学校で勤務していた経験をもとに、

多文化の子供たちが日本の公立小学校で学ぶとき、しんどさや困り感はどこにあるのか

を中心にお話ししようと思います。

1.学校での生活:友達との関わり

日本語は「おはようございます。」と「ありがとうございます。」程度しか話せないという状態で外国から学校に来た子供たちと何人か出会ったことがあります。

日本の子供たちはどの学年であっても、新しく来たお友達には「やさしく教えてあげたい‼」「知りたい‼」という気持ちで積極的に関われる子が多いです。日本語が十分かどうかは関係ありません。

子供たちは、一緒に遊ぶ中で本当に早く、色んな言葉を覚えていきます。良い言葉はもちろん、悪口も遊びの中で習得していきます。意味を分かっていないのに友達が使っている悪口をそのまま言って、喧嘩に発展することも多々ありましたが…それも勉強です。

ところが、細かい部分まで日本語で表現できないこともあります

日本に来て間もない時には、自分の気持ちを100%日本語で伝えることができずに手を出してしまう子もいました。

そんな時には、何が嫌だったのか・どんな気持ちだったのか・どうしたかったのか…

大人がゆっくりと話を聞いて、整理してあげる必要があります

友達との関わりの中で日本語や文化、人との関わり方を習得していきます。

2.学校での生活:授業の中でのしんどさ

1日5時限~6時限まである授業。果たしてついていけるのか…心配される親御さんともたくさん出会ってきました。

そこで、多文化の子供たちは、授業ではどのような様子なのか、しんどさはどこにあるのかを中心に各教科ごとにまとめてみます。

1.国語

国語の中には大きく3つの領域があります。

「A 話すこと・聞くこと」「B 読むこと」「C 書くこと」

多文化の子供たちが一番難易度の高いことが「書くこと」ではないでしょうか。

話し合ったり聞き合ったりすることは、日常生活の中でできているため授業の中でも生き生きと活躍している子供たちがたくさんいました。

読むことについても、ルビをうってあげると読みやすくなり、文章の理解も大幅できる場合が多いです。

しかし、自分の考えをまとめ、文章を組み立て、書くということについては簡単ではありません。高学年になると原稿用紙2枚程度(800字)にまとめる学習がたくさんあります。ネイティブの子供たちも低学年からの積み重ねで書けるようになってくるので、同等の文章を書くためには相当の練習量が必要だと思います。

そのため多文化の子供たちにとって、この「書くという時間」が苦になるパターンが多いです。授業の中では2時間書き続けるだけの時間もあったりします。

2.算数

算数については国によって進度がちがうものの、ほとんど同じ内容で学習できます。

ただ、ノートの書き方を丁寧に指導される先生が日本には多く、そこで戸惑う子供たちもいました。(5mm方眼ノートの使い方は先生によって、学校によっても少しずつちがいます。)

アピカスクールキッズ学習帳
アピカスクールキッズ学習帳
・筆算を書くときには定規を必ず使わなければならない。
・問題と問題の間は〇マスあけなければならない。
・小数点は1マスに書く…
    …など

「こんな風に書いてね~」と、お手本を教えてもらえると思います。慣れれば、整ったノートに仕上がるので頭の中でも整理されやすいのですが、慣れるまでは大変かもしれません。

3.社会

興味の持ち方によって差はありますが、難しいと感じる子供たちが多いようです。地理にしても歴史にしても覚えるべき言葉がたくさんあります。

私も、「扇状地」や「竪穴式住居」を韓国語で説明することができません。。。

多文化の子供たちにとっては聞いても難しいし、説明することも難しいし、読んでも難しいのが社会です。

ただ、資料を読み取り、友達と話をすることは楽しそうにしています。

縄文人の絵を見て、「この人筋肉ムキムキ!」「服がきたない」…そんな風にたくさん意見を出す子供たち。

しかし、読み取ったことを書きまとめる作業についてはまた苦の時間となっている場合があるかもしれません。

4.理科

理科における探究的な活動は楽しんで行っています。特に実験は本当に嬉しそうに子供たちは取り組んでいます。

難しいことは、実験のあとの考察(結果から考えられること)をまとめることです。学習指導要領には理科の目標として次の3つがあげられています。

(1) 自然の事物・現象についての理解を図り,観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする。

(2) 観察,実験などを行い,問題解決の力を養う。

(3) 自然を愛する心情や主体的に問題解決しようとする態度を養う。

小学校学習指導要領【理科編】

つまり、実験をする技能に加え、問題について解決する力が必要なのです。その問題を解決する力は実験のあとの考察で自分の言葉で書いたり、友達へ発表したりしながら培っていきます。

多文化の子供たちは、目の前の現象についての内容は理解していても、なぜそうなったのか、なぜそう考えたのかを言葉で書くことが難しいようです。やはり、「書くこと」です。

5.外国語

外国語の授業は本当に面白いです‼

英語だから…ではなく、自分の両親の国、自分が住んでいた(生活したことのある)国を、思う存分友達に伝えることができる時間だからです。

外国語の授業の中では、英語を通じて世界の文化について学ぶ時間が設定されています。

「韓国ではどんな食べ物を食べるの?」「どんなお祭りがあるの?」

…みんなが興味津々で聞いてくれます。

各Unitのテーマごとに、話せる場面があるのでそこでは思い切り語ってほしいな~と思っています‼そのことが、お互いの深い学びにつながります。

6.体育/音楽/図工/家庭科/総合

ストレスフリーで参加できる教科と思いがちですが、こちらでも「書く」時間が設けられています。

ほとんどは活動なので問題ありませんが、感想や考えを書く時間があるのでその時はちょっとだけ頑張ってもらわないといけません。

どの教科でもやはり、自分の考えをもち、表出することが大事です。

7.道徳

最後に、道徳ですが、国語の時間のような感覚で聞いている子供たちが多いと思います。

登場人物になりきってロールプレイをする時間もあり、そのような活動を通して他者の気持ちを理解していくことができるのだと思います。

外国語同様、国際理解の時間が道徳にはあるのでその時にもまた思い切り語ってほしいです。

そしてやはり、毎回の授業の最後には、振り返りの時間として書く作業が待っています。

国語の時間とちがうところは、自分自身の経験を思い出し、自分のこととして考えられるかが大事になってきます。教材の内容を100%理解することが難しくとも、友達との話し合いの中で少しでも何かに気づけたらハナマルですね!

まとめ

今回は、多文化の子供たちが日本の公立学校に入った場合に感じるしんどさを中心にお話ししました。

1. 自分の気持ちを100%言葉で表現することはむずかしい。
2. どの授業でも「書くこと」がいっぱいなので、大変なときも…
3. 国際理解教育の時間では自信をもって語ってほしい

子供たちが「何かしんどいな~」と感じていることがあったときに、なぜしんどいのか?どの部分に困っているのか?を探してあげられると対策をたてやすいと思います。少しでもお役に立てると幸いです。

(なお、子供たちの言語レベルや育ってきた環境により一人ひとり、ケースは異なりますので予めご了承ください。)

今日もありがとうございます♪

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